名古屋形成クリニック

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皮膚とは

皮膚は身体全体を覆う最も大きな器官です。 その表面積は、日本人の成人で平均して1.6㎡で、薄いながらも表面積が広いため体重の約16%もあり、臓器の中で最も重い肝臓の約3倍になります。 皮膚には人間の身体を外界・外敵から守るという大きな役割があります。 例えば、夏の暑さから身体を守るために血管を拡張させ蒸発していく汗の量を増やし体温を下げたり、反対に寒くなると、血管を収縮させ体温が奪われるのを防ぐ、体温調整を行います。また、細菌やウィルス、大気汚染などの有害物質、太陽光線(紫外線)などの人体に悪影響を及ぼすものからのバリアの役割を果たしています。さらに、皮膚には自分で再生する力もあり、切り傷やすり傷を受けても自分で修復して傷を治癒します。 この様に大きな働きをする皮膚は、3つの層から出来ています。1番外側(上)が表皮層、次に真皮層、脂肪層(皮下組織)です。 皮膚は常に新しい細胞を作り入れ替わります。古い細胞を上へ上へと押し上げ最終的に古くなった細胞は垢やフケとなって剥がれ落ちます。

皮膚は内臓の鏡

皮膚は内臓の鏡ともいわれ、その人の全身状態を映し出し、肌(皮膚)の状態から内臓の病気を探し出すことも出来ます。 美しい肌というのは「見て美しく」「触れてなめらか」という表面的なことばかりに注目しがちですが、実は心身共に健康であることが美しい肌の第一条件となります。しっかりとした食事・睡眠・休息を取り、運動・仕事量も適切で、身体的にも精神的にもストレスのない健全な状態であれば、その人の肌(皮膚)は綺麗に美しくなります。 逆にいえば、食事や睡眠・運動など健康状態を保つ条件が1つでも欠ければ、肌荒れや肌のくすみといった症状が現れてきます。顔色が悪い、血色が良くないなどの症状が肌(皮膚)に現れた場合は、身体的・精神的に何らかの兆候があるということです。 美しい肌・綺麗な肌になり、それを維持することは心身共に健康状態をはかるバロメーターなのです。

皮膚の構造

皮膚は表皮層、真皮層、脂肪層(皮下組織)の3つの層からなり、各層には固有の働きがあります。

①表皮層

表皮層は皮膚の3層構造の最も外側にある、薄くてとても丈夫な層です。その厚さは平均0.2mmで、皮膚を形成する中で最も薄い層で、人体を外敵から防御・保護する作用がとても高い層です。 表皮には、末梢神経が分布してますが、血管がないため表皮の傷は出血しません。 表皮はとても薄いのですが、それでも、5つの層からできています。角質層、透明層、顆粒層、有棘層、基底層です。新しい細胞は一番下の基底層で生成されます。基底層で作られた新しい細胞が古い細胞を上へ押し上げ角質層まで行きます。この時、前にあった細胞(角質)は垢やフケとなって剥がれ落ちます。このように皮膚は4週間くらいで常に新しい皮膚に生まれ変わっているのです。これをターンオーバーと言います。 この仕組み(ターンオーバー)が上手く働いていると、潤いがあり、弾力のある綺麗な肌(皮膚)が保たれる事になります。 また、基底層には皮膚(肌)の色を決定する要素のメラニン色素があります。 メラニン(色素)というと、シミの原因となるものとして、あまり良いイメージがありませんが、実は私たちの体を紫外線から守る大切な働きをしているのです。 もしメラニン色素がなければ、皮膚の奥深くまで紫外線が入り込み、ちょっと紫外線を浴びただけで、水ぶくれや炎症といった火傷の様な症状を起こすことになります。また、紫外線によってDNAを破壊され、皮膚ガンなどになってしまう可能性もあります。 嫌なシミが増えてしまうのも確かですが、メラニン色素は私たちの体を守る大切な防衛物質なのです。 メラニン色素を含む表皮(皮膚)細胞が常に生成されることにより、肌にバリアゾーンを形成し人体に悪影響を及ぼす外敵から守ってくれているのです。

②真皮層

表皮層の下には真皮層があります。表皮層を下から支える真皮層は水分を多く含んだ、皮膚の本体ともいえる部分です。肌の張りや弾力を維持するコラーゲンからなる線維組織とエラスチンからなる弾性組織でできた厚い層で、真皮層の厚さは平均で2mmと表皮層の数倍から数十倍にもなります。真皮内には繊維組織と弾性組織の他に、痛みや感触、温度を感じ取る神経、皮脂や汗の分泌腺、毛包、血管などがあります。 微細な毛細血管を豊富にもつ真皮層の大きな役割として、血管の無い表皮層に栄養分を送り込み、常に繰り返される細胞分裂(ターンオーバー)を支える他に、体温調整を行い発汗作用を促し、汗口から老廃物の排出を行います。 真皮層は皮膚の新陳代謝をつかさどっている大切な働きをしているのです。 もう1つの役割として、肌(皮膚)の張りと弾力です。真皮層の大部分が繊維性たんぱく質で、張りを保つ繊維組織(コラーゲン)と弾力を保つ弾性組織(エラスチン)で構成されています。年齢とともに張りがなくなりシワが出来るのは、このコラーゲンとエラスチンが壊れたり生成出来なくなってしまうからです。

③脂肪層(皮下組織)

表皮、真皮の2層の下にあるのが脂肪層(皮下組織)です。沢山の脂肪を含んでいることから皮下脂肪組織とも呼ばれています。 皮膚と筋肉・骨などの体内組織とのつなぎ役となる部分で、強い衝撃が加えられても筋肉や骨に直接衝撃が伝わらないようクッション的な役割や、脂肪を脂肪細胞の中に蓄えエネルギー貯蔵庫(皮下脂肪)の役割を果たしています。 もう1つの大切な役割として、保温作用です。脂肪は熱伝導率が低いため、体温の熱を外に逃がさないよう保温作用としての役割を担っています。 脂肪層の厚みは体の部分や年齢・性別によって異なりますが、たとえば、まぶたの脂肪層はごくわずかですが、腹部や尻の部分では人によっては数センチメートル以上の厚みがあります。